安室奈美恵 / Break It / Get Myself Back

 人の噂も七十五日。

 以前、安室奈美恵の記事を書いたら驚かれた。記事の内容よりも、僕が安室を取り上げた事自体が意外だったようだ。村上龍を読むような人は、安室を聴いたりはしないのだろうか。70年代ロックばかりに囲まれて暮らす奴は、安室を好きになったりはしないのだろうか。まぁ確かにそうなのだろう。

 安室の新作がリリースされる。例の交際発覚以来、僕は安室を聴いていない。あの時、レコード棚の奥深くに安室のすべてをしまい込んでしまった。もう一生聴かないだろうと思った。そしていつの間にか忘れていた。

 ところがこうして新作がリリースされると、いつものように躊躇なく予約している自分がいる。もう聴かないはずじゃなかったのか。人間という動物のスゴい点は、都合の悪いことは忘れる事が出来るというところだ。忘却とは優れた機能だ。交際発覚時に多大なショックを受けた多くのファンが、僕同様おそらく予約しているのだろう。僕も安室も忘却に救われた。