村上龍 裏JMMの海岸 Q:1046

Q:1046
 あるアンケートによると、今年二十歳を迎える新成人の8割が「日本の将来は暗い」と考えていて、自分たちの将来については6割が「明るい」と楽観しているそうです。新成人に対して、「経済」の観点から、何かアドバイスをお願いできればと思います。

 なんかうれしくなりますよね。こんな暗い世の中で、6割もの新成人が自分の将来を明るいと考えているんでしょ。これはスゴいです!

 一方、8割が日本の将来を暗いと思っている。これは新成人に限った事ではなく、国民の多くがそう感じていると思います。少子高齢化や人口減少という構造上の問題が変化しなければ、政治がどう変わろうと明るい未来像なんて描けない。明治維新を超えるような何かでも起きれば別ですけど。

 彼らにアドバイスがあるとすれば、日本にこだわるなという事だと思います。たとえば日本という括りをとっぱらって世界を見渡せば、BRICs はもとより、意外にも世界は明るいです。それはそう、人類には発展の歴史しかないですから、ある特定地域が暗くとも人類の総体は明るいハズです。

 若い人達は積極的に陽のあたる地にアプローチすればいいと思います。移住だけがアプローチの方法ではないです。そしてもし日本に幻滅したとしても、人類の未来は明るいと、信じて疑わない事が重要だと思います。