村上龍 コインロッカー・ベイビーズ Ex7

 年末に劇場版「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」を観た。TVシリーズがスゴく良かったので期待したのだが、正直がっかりした。

 「エウレカセブン」は愛の物語だ。TVシリーズも劇場版もその点は共通している。それはそれでいい。しかしTVシリーズで執拗にこだわっておきながら劇場版がまったく無視したものがある。ゲッコーステイトの存在である。

 テクノミュージック、サーフィンボード、ストリートファッション。挙げ出したらキリがないが、そういったすべての装飾を徹底的に追求し、大人そして体制に反抗する若者たち(ゲッコーステイト)を見事に演じさせたのがTVシリーズであり、このサブカルチャー度は本当に並ではなかった。度を超えたサブカルチャーはオルタナティブであり、それ故に途方もなくカッコいい。

 村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」と「エウレカセブン」は、アネモネの登場はともかく、共にオルタナティブな感覚が支配している。だからこそ支持されるのであり、愛だけ語られても柔な人にしか届かないと思う。