加藤和彦 / あの素晴しい愛をもう一度

 加藤和彦の死は、いまだに受け容れ難い。何故自殺なのか。とびきり幸せな人生を歩んでいると感じていても、自殺しなけれはならないような暗黒の闇は、知らず知らずのうちに忍び寄ってくるのか?

 我が家は森林の中にある。友人を何人も呼んで、屋外でよくバーベキューをする。10時間以上に渡って火を囲む場合も多い。お昼から始めても最後は星空の下だ。このバーベキューに必ずギターを持ってくる奴がいて、酔いがピークになる頃にはいつも全員で大合唱となってしまう。いい歳のおじさん達が夜中に外で歌っているのだから、きっと異様な風景なのだろう。

 その中で定番となっている曲がある。加藤和彦の「あの素晴しい愛をもう一度」だ。僕はこの曲を歌いながら泣きそうになる時がある。何故泣きそうになるのか考えた。それは皆で過ごすその一瞬に、この上ない幸せを感じるからなのだと思う。それを引き出しているのはこの曲が持つ力に違いない。

 この曲をこれからもずっと歌い続ける。ご冥福をお祈り申し上げます。