RCサクセション / RHAPSODY

 RC SUCCESSIONの忌野清志郎が、5月2日、癌でこの世を去った。58歳だった。最初ニュースを目にした際、特に大きな驚きがあったわけではない。しかし不思議な事に、時間の経過とともに喪失感が膨らんでくる。

 1980年、「雨あがりの夜空に」でブレイク直前のRCのライヴを、小さく、ロックには似つかない地味な会場で見た事がある。まるでNHKのど自慢の地方予選会場のような演歌テイストな場所なのだ。RCは衝撃的だった。特にヴォーカリストには度肝を抜かれた。あれが清志郎だったのだ。会場とのミスマッチングさと相まって、僕にとって忘れられない記憶となっている。

 そのライヴの夜、あり得ない事が起こった。打ち上げを終えたRCの面々と街で偶然に遭遇、不良高校生だった僕らが大騒ぎしたのに対して、メンバーが周りのことなどお構いなしに、乗り込もうしていたタクシーの屋根によじ登り、僕たちに向かって両手を挙げ、大きく叫び応えてくれたのだ。

 あの日、最高の大人達を見た。ご冥福をお祈り申し上げます。