村上龍訳 リチャード・バック イリュージョン 9

 「この世の全てはイリュージョンだ」、であるならそれを映し出している主体である自分自身の気持ち次第で、世界はいかようにも変える事が出来る。村上龍訳 リチャード・バック「イリュージョン」、タイトルの意味するところは大旨そういった事なんでしょ。でも、最も大事なメッセージは他にあるんですよ!

 「俺達は好きなことを何でも自由にやっていいんだ」。

 救世主に救いを求める一般聴衆を想定して、シモダがリチャードに問いかけます。「救世主様、私は愛されたいのです。私は親切だし、自分で他人からこうされたいなと思う事を他人にしてあげています。それでもひとりぼっちで友達がひとりもいません」。リチャードが答えます。「どうしようもありません、あなたは一生救われないでしょう。俺は別に世の人々に感銘を与えるために生きているわけじゃない、俺は俺のためだけに生きているだけだ」。

 なんと、この質疑応答が救世主試験の最終問題だったんですよ。回答を聞いたシモダが即答します、「リチャード、君は卒業だ」。