村上龍 vs 村上春樹 ウォーク・ドント・ラン 11

 「村上龍 vs 村上春樹 ウォーク・ドント・ラン」。村上春樹があとがきで、村上龍の人物像を書いているのですが、これが結構ウケるんですよ。

 「もし我々2人が前線に取り残され、僕が重傷を負っていたら、彼は1時間くらいは一生懸命看護してくれると思う。それからきっとこう言うと思う。あの、ハルキさんさァ、俺ちょっと用事思い出しちゃったんだよ。それでさ、その用事済んだら戻ってくるけど、大丈夫だよね。すぐに済むと思うからさ」。

 ハハハッ、あり得る~。まるで、情の薄いヒドい人ですね。ただその場に残って重傷の人に付き添っていても、共に全滅する事が目に見えてるでしょ。その場を後にするというのは、戦略としては合理的な判断ですよね。でもそれ以上に的を射てると思うのは、先に続く下記の言葉です。

 「この人は鮫のように口から状況を呑みこみ、そして前に進む。いかなる理由であれ、停止は死を意味するのだ。僕は参ったなあと思いながらも、龍だからまあいいやと思って死んでいくに違いない。これはやはり人徳である」。