村上龍 vs 村上春樹 ウォーク・ドント・ラン 10

 「海の向こうで戦争が始まる」「コインロッカー・ベイビーズ」。村上龍の破壊とはいったい何なのだろう。「村上龍 vs 村上春樹 ウォーク・ドント・ラン」の中で、2人が破壊衝動について語っています。

 村上龍はハシの模型王国を例に出して、誰もが持ち合わせているものだと言っているのに対して、村上春樹がこう返しています。

 「僕の場合は何かを破壊したいという気持ちはあまりないんですよ。どちらかといえば、何もかも放っておいて自然に崩れていくんだって気持の方が強い。社会も価値基準も何もかも。そんなもの僕の手をわずらわせるまでもない。人はいつか死ぬんだもの、殺すまでもない。政府が気に入らなくたって、いつか崩れる。要するに主体的にかかわろうという気持がないんですよ」。

 いやぁ、大人だなぁ、クールですよね。僕のように村上龍の破壊に魅せらた者にとっては結構頭にくる発言ですが、その通りだという部分も確かにありますよね。2人の一番の違いはこのへんにあるんでしょう!