村上春樹 ノルウェイの森 9

 村上春樹「ノルウェイの森」。永沢さんの彼女でハツミさんという女性がいます。非常に裕福な家庭に育ち、超の付くお嬢様女子大に通っています。

 各書評を読むと、ハツミさんは直子や緑に負けず劣らずの人気者なんですよね。彼女にはお嬢様だけが持つホンモノの清楚さみたいなものが最初から備わっていて、しかも自分の意志というものをきちんと持っている。もちろん美人です。男性からみれば完璧な女性ですね!

 で不思議なのが、なんで永沢さんと付き合ってるのってトコです。自分にしか興味を持てない、ある意味傲慢な永沢さんと付き合わなくても、彼女なら他によほど素敵な男性と付き合えるハズですよね。何故、永沢さんなのか。これが恋というものなんでしょ、理屈じゃないんですよね!

 ある人を好きになってしまうという事が、その人のその後の人生を大きく変えてしまうという事実を、これでもかと読者に提示したのがハツミさんです。ハツミさんでさえ、深く暗い森の中に迷い込んでしまう。