村上春樹 ノルウェイの森 5

 村上春樹「ノルウェイの森」。主人公の僕はワタナベくん、回想の中では19歳で、東京にある私立大学1年生です。高校は神戸だったのですが、ある事を忘れたいがために、特に目的もないまま、自分の事を知る者が誰もいない東京の平凡な大学を選び、寮生活を始めます。

 ワタナベくんが忘れたかった事は、高校3年の時に起こった親友の自殺です。キズキという名の無二の親友が、ワタナベくんとビリヤードを楽しんだその夜に、何の予兆も示さぬまま自宅のガレージで自殺したのです。

 この作品は、キズキの自殺がすべてのトリガーとなっています。かけがえのない親友が、自分に何も相談することもなく突然自らの命を絶つ。残された者はその後襲ってくるであろう喪失感に耐えられるのだろうか?

 肉親や親友の事故死や病死は辛いですよね。でも肉親や親友の自殺ほど辛いものはないんじゃないかな。その人を救う事が出来なかったというのは、自分の存在がその人に否定されていたのと意味が同じですから。

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