村上春樹 ノルウェイの森 3

 「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している」。村上春樹「ノルウェイの森」で一番驚くのは死に対するイメージです。これほど死を身近に捉えている小説というのも他にはないんじゃないかな。

 「世界の中心で、愛をさけぶ」に代表される個別の死を扱った作品、これらの死はあくまで主人公にのみ特有のイレギュラーな出来事という域を出ていません。一方でこの作品の死は、世の中の誰もが死と隣り合わせで、必ず死を内包しながら生きているといったような世界観で貫かれています。死はありふれた日常風景の中に自然とセットされているワケです。

 この作品は恋愛小説という事になっているようですが、それ以上に死の小説です。死とは何か、死ぬという事はどういう事なのか。この作品に読者が引き込まれてしまうのは、登場人物達の恋愛が気になるからじゃないんです、村上春樹の描く死の世界に圧倒されるからなんですよ!

 起こる出来事は、すべて死によってドライブされているのです!

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