村上龍 コインロッカー・ベイビーズ Coda2

 村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」の初版本を、最後まで僕に譲ろうとしなかったY2さんは、その理由を、「キクのスピリットが自分の中に流れているのを感じていたいから」とだけ僕に言い残しました。僕がこの作品にだけ感じる特別な何か、「半島を出よ」に譲るべきではないと思わせる特別な何かとは、Y2さんの云うキクのスピリットときっと同じなんでしょう。

 キクのスピリットを言葉で表現するのは難しいです。あえて言葉にするなら、若さだけが持つ、疲れを知らない生命力とでも云うのか?

 「自分は不必要な存在なのではないか」という思春期に誰もが思う不安に対して、究極的に不必要な存在としてのコインロッカー・ベイビー達が、流れ出る血や汗や涙と共に、探求心を持続させ、途方もない空間を移動し、時に殺人を犯し、ドラッグにまみれ、狂人になってもまだ生きたいと願い、生き抜くことですべてを打破しようとする、魂としての生命力!

 これほどまでに生きる事に拘った主人公達を、僕は他に知らない。

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