村上龍 コインロッカー・ベイビーズ 28

 村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」。村上龍の破壊系作品群の中で、女性ヒロインが登場する作品って意外に少ないんですよね。しかも、

 「半島を出よ」に登場するヒロイン達は、魅力的ではあっても破壊者側ではない。「ヒュウガ・ウィルス」のコウリーは、アクティヴなヒロインではあっても、破壊者とは呼べない。「愛と幻想のファシズム」のフルーツは、破壊者側ではあっても、トウジやゼロを見守る役であって積極的に破壊に参加するわけではない。「昭和歌謡大全集」のミドリ会おばさん達は、あっ、これはちょっと年齢制限に引っかかっちゃってます。つまり村上龍全作品中、積極的に破壊に関与した唯一のヒロインがアネモネなんですよ。

 キクの判決公判の日の法廷で、すべてのエネルギーを奪われたキクに、アネモネが放った言葉。これに涙した読者も多いんじゃないですか?

 「キク、ダチュラを忘れたの、ダチュラよ。あんた、こんなのに騙されちゃだめよ。まだ何も終わってないのよ、キク」。

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