村上龍 コインロッカー・ベイビーズ 27

 村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」。腐りきった都市すべてを破壊し尽くす事で、まったく新しい何かがその場所に生まれる、そしてその場所は、かろうじて腐る事を免れた者達が、思うように生きる事の出来る場所です。

 村上龍の破壊がいつも気持ちいいのは、破壊の後に希望が垣間見えるからですよね。この作品はその最たるものです。まさに破壊の代名詞です。

 ただこの作品の破壊には、1人の人間が真剣に生きた証という側面もあると思います。理由は破壊の動機にあります。キクは、本当はハシのために東京を破壊したんじゃないですか。ロックスターになったハシがどんどん自分を見失って地獄の底に転落していく。ハシをこんなにしたのは誰だというキクの叫び。ハシを狂わせたのは東京という都市。だからキクは腐りきった都市すべてを破壊して、ハシを救い出してあげたかったんじゃないですか!

 ハシがいなければキクは生きられない。キクにとってハシを救う事は、自身を救う事です。キクの破壊は、キクが真剣に生き延びようとした結果です!

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