村上龍 コインロッカー・ベイビーズ 5

 村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」。救出された2人の赤ちゃんは乳児院に収容され、ここで早くも尋常でないエネルギーが片鱗を見せ始めます。

 キクには静止恐怖という症状が現れます。何かが自分のすぐ傍で轟音と共に飛び立とうとしている。それに置いていかれたくないという強迫観念から、地面の上でじっとしている事が出来ず、急激な空間移動を常に欲するようになります。又、ハシは床一面にガラクタを敷き詰め、不思議な箱庭を作り、領地を侵害する者がいると暴れ、更にはその横で眠り、朝起きて異常がないのを確認しては安心し、やがて破壊するという行為を繰り返します。

 よくよく考えてみると、これスゴい事ですよね。キクの体力とか持久力とか、ハシの創造力とか集中力とか。2人はまだ幼児なんですから!

 母親に捨てられたという事実が2人にそのような行動をさせているわけですから、気の毒だと思えるのも事実です。でも、一方である種の才能というか、計り知れない可能性も垣間見えてワクワクしてしまうのは不謹慎かな?