村上龍 ラブ&ポップ 11

 村上龍「ラブ&ポップ」の作品評とかをWebで読んだりすると、意外にも若い女性からのウケがあまり良くないんですよ。援助交際などしちゃいかんと、40過ぎのオヤジから説教を受けているような気持ちになるみたいです。

 裕美や多くの読者の心に響いた、誰かが死ぬほど悲しい思いをしているからというキャプテンEOの言葉は、実は諸刃の剣なんですよね。

 龍さんは、もともと援助交際の是非を問おうなんて気は、サラサラ無いんだと思います。ましてや他人が悲しむからなどという理由をもって、援助交際を非とするとは考えにくいです。気に入らなければ、ビルでも街全体でさえも、あっという間に木っ端微塵に破壊してしまうような作家ですから。読者側でキャプテンEOの言葉を必要以上に重要視し過ぎてませんかね?

 じゃあ、この作品にメッセージのようなモノは無いのか。僕は、非常に強烈なメッセージが込められているように思います。でもそれはキャプテンEOの言葉ではなく、それ以外のところにあるような気がしています。