村上龍 ラブ&ポップ 2

 村上龍「ラブ&ポップ」。主人公は裕美、高校2年生。商社員の父親と美術館で事務の仕事をする母親、井の頭線沿線の一戸建てに住んでいて、連れて歩いても恥ずかしくない程度の彼がいる。もう少しこのまま女の子でいたいとも思うし、大人の女に見られたいとも思っている。

 あぁ、なんてフツーなんでしょ。龍さんの作品の中でフツーの人が主人公ってめずらしいです。トラウマがあるとかひきこもってるとか、そんな主人公ばっかですもんね。もっとも援助交際をモチーフにする以上、主人公はフツーの女の子じゃないとね。バリバリ不良少女とかじゃ文学にならないし。

 裕美の友達は、端正な顔立ちで背が高く気が強い知佐、スタイルが良くて大人っぽい千恵子、背が低くカワイイ感じの奈緒。友達もフツーだ!

 普通の女子高生ってそれだけで愛おしくなりませんか。普通の子ども、普通のOL、普通の主婦、普通のおばさん。女子高生に限って普通のという形容詞がおそろしく魅力的な語感を持つのはどうしてですかね?