村上龍 それでもわたしは、恋がしたい 幸福になりたい お金も欲しい 11

 村上龍「それでもわたしは、恋がしたい 幸福になりたい お金も欲しい」。自分にとっての幸せをイメージできないと幸福にはなれない、の続きです。

 「住宅や鍋物のコマーシャルには、15秒だけ楽しく笑っている家族が出てくる。先端的な仕事をしているお父さんと、教養がありそうなお母さん、私立の幼稚園に行ってそうな子どもがいて、何が楽しいのかみんな笑っている」。

 「問題はああいうのを見ていると楽しまなければならないと思うようになることです。コマーシャルやドラマに代表されるようなモデルには、惑わされないほうがいい。みんなの中には、自分よりハッピーに生きている人がいるんじゃないかという強迫観念のようなものがあると思う。社会と世間が提供する幸せや理想、そんなものは幻想にすぎない」と。

 僕はTVをいっさい見ないんですよ。考えてみたらTVを見なくなってから、他人の事が気にならなくなったんですよ。龍さんの言う強迫観念が少しずつ消えてったように思えるんです。TVなんて見るもんじゃない!