村上龍 愛と幻想のファシズム Returns! 1

 現在でも非常に人気の高い、村上龍「愛と幻想のファシズム」。しかしながらこの作品の結末に対しては、何かいまひとつ納得できないと思っている読者も多いんじゃないでしょうか。実は僕もそのひとりだったんですよ。だったというのは現在はちょっと違う印象に変わってきているからです。

 この作品の結末に対する不満というのは一言で云えば、あっけなさだと思うんですよ。「半島を出よ」に迫るヴォリュームをグイグイ読ませながらも、結末部分にあのような圧倒的カタルシスを感じない。そして結末に用意されたストーリーはなかなか受け容れ難い。理由はいずれもゼロでしょ。作品の中におけるゼロの存在意義を見いだすのが難しいからなんですよね!

 ちょうど1年前ですが、ブログ記事を書くためにこの作品を再読しました。その際に自分の頭の中で誇大妄想的にイロイロな想いが巡ったんです。

 そしてあれから1年。その時の誇大妄想が大きくこの作品のイメージを変えているのに気付いたんです。イメージはどう変わったのか?