村上龍 愛と幻想のファシズム Returns! 2

 村上龍「愛と幻想のファシズム」は本当に面白いです。あまりに面白いためにそれだけでお腹いっぱいになります。ですがよくよく考えてみると、ゼロの存在意義の微妙さ曖昧さみたいなモノが気になりませんかね?

 そこで登場するのが、ゼロの中に見えるトウジ自身という考え方です。詳しくはバックナンバーを見てもらいたいのですが、ある日トウジが鏡を覗き込んだら、鏡に映っていたのは自分ではなくゼロの姿だったというワケです。

 そう考える事で途端にゼロのポジションが明確になりますよね。トウジを通り越して一気に作品の最重要パーソンです。もっともこの事は僕が言い出した事ではなく、他の方の書いた書評等で見かけたことがありますので、もしかしたら既に定説となっている事なのかもしれません。

 しかしながらゼロのポジションが明確になったからといって、この物語の結末を受け容れるのはやっぱりちょっと辛いですよね。そこで登場するのがトウジとゼロの同一人物説です。ここからが僕の誇大妄想の始まりです。