村上龍 それでもわたしは、恋がしたい 幸福になりたい お金も欲しい 1

 村上龍「それでもわたしは、恋がしたい 幸福になりたい お金も欲しい」。3月25日刊行の新刊です。雑誌SAYに連載していたものを再構成したもので、「わたしは甘えているのでしょうか? 27歳・OL」と同様、若い女性のバカバカしくも切実な悩みに、龍さんが優しく答えるというコンセプトです。

 「わたしは甘えているのでしょうか?」といえば、以前とっても辛口の書評を書いちゃったんですよね、「コインロッカー・ベイビーズ」の作者が20数年後とはいえ、なんでOLの人生相談をしているのかって。破壊の代名詞「コイン」とOLの人生相談との間にあるギャップが、僕の中でどうしても埋まらなかったんですよ。っていうか埋めたくなかったというか。

 じゃあ「わたしは甘えているのでしょうか?」も、本作「それでもわたしは、恋がしたい」も、村上龍作品として認めることができないのかって?

 それが読み出すと止まらず、時に笑い転げ、最後まで一気に読んで、満足満足と何度も肯いている自分がいるんです。まったくね~!