村上龍 希望の国のエクソダス Returns! 3

 村上龍「希望の国のエクソダス」取材ノートで龍さんはこう言っています。「現実の社会のシビアな状況を知るに及んで、ちょっと気が変わってきました。何とか中学生に勝たせてやりたいって」。

 こうして崩壊シナリオは免れたのですが、例のたった数行の暗雲の文章によって、ポンちゃん達の完全勝利とはならなかったんですよね!

 僕は「希望の国のエクソダス」の連載中に父親になったんですよ。そんな事もあって、ポンちゃん達を他人のようにはとても思えないんです。欲望が希薄でもいいじゃないですか、市場原理主義が染み着いていたっていいじゃないですか。もし仮に彼らに何らかの違和感があったとしても、彼らをそうさせたのは僕たち大人達ですからね。彼らは僕らの子どもです。

 ポンちゃんの言葉、覚えてますか。「通貨くらい自分たちで作れます。信用を創造すればいいわけでしょう」。大人も含めてこんな事を言う人いますか。ポンちゃんが勝てない未来なんてホントいらないです。