村上龍 希望の国のエクソダス Returns! 2

 「そういった欲望っていうのは、生きる力になるんじゃないだろうか。僕たちにはこの写真の人たちのような欲望がない」。村上龍「希望の国のエクソダス」のエンディング、ポンちゃん達の未来にほんの一瞬見え隠れするちょっとイヤな感じのする暗雲。今日はその続きです。

 ここでいう欲望というのは、生きるという事に対する執着が滲み出るような思いの事なんだと思うんですよ。その人がどのような状況に置かれているかにかかわらずいつも貪欲に何かを欲している、そんな状態です。

 ポンちゃん達は今後もおそらく、向かうところ敵無しです。ただ、欲望だけが欠如している。生へのあくなき執着が進化だとするなら、ポンちゃん達が進化する事はないですよね。進化を止めた生体は弱いです。ポンちゃん達は巨大なシーラカンスになりかねないという事なんじゃないかな?

 欲望を肯定して生きるのは難しいと、龍さんがよく言いますよね。新人類の脆弱さを、ほんのちょっとだけ提示してみせたのだと思います。

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