村上龍 希望の国のエクソダス Returns!

 村上龍「希望の国のエクソダス」。以前にも書いたのですが、僕はこの作品のエンディングには必ずしも納得してないんですよ。最後の最後で、ポンちゃん達の未来に暗雲のようなものが垂れ込めるからです。

 ポンちゃん達のメンバーの何人かが、栄養分が吸収されないまま食べたものが排出されてしまう原因不明の奇病で亡くなっていきます。ポンちゃんは昭和初期の網走刑務所の囚人の写真を見た際、自らこう分析します。

 「なんかギラギラしている。欲望が強そうな目だ。この人たちには何かはっきりしたものが必要で、つまり、肉の入ったスープとか、毛糸のセーターとか生きるために直接必要なものだけど、それが手に入るんだったら、簡単に人を殺すような目つきだ。そういった欲望っていうのは、生きる力になるんじゃないだろうか。僕たちにはこの写真の人たちのような欲望がない」。

 危機感の有無が、現実の人間の体に変化を及ぼした「ヒュウガ・ウィルス」を連想しますよね。欲望が希薄な人間たちに起こる体の変化。

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