村上龍 案外、買い物好き 9

 村上龍「案外、買い物好き」、「初めての買い物」。「限りなく透明に近いブルー」が芥川賞を取り、あっという間にベストセラーとなって、出版社から最初の20万部の印税が振り込まれたときのことが書かれています。

 「全く実感の無い金額だった。あまりの大金でどうすればいいのかわからず私は茫然としていた。せっかく大金があるのだから何か買おうと思って、とりあえず銀行にお金を下ろしに行った。窓口に並んでいると、銀行の支店長が出てきて、こちらへどうぞと言われ、ついていくと応接室に通された」。

 いやぁスカッとしますね~。20代前半の長髪でベルボトムを履いた不良ロッカーのような青年が、7:3に髪を分けたネクタイのおじさんに頭を下げさせるんですから。卓越した若い才能を前に、権威が屈服するワケです!

 もっとも龍さん本人はそんな感慨もなく唖然としていただけなんでしょうけど。ただ1つだけ自覚した事としてこう書いています。「大金が振り込まれて、これで自由になった~!」。