村上龍 特権的情人美食 村上龍料理&官能小説集 7

 村上龍「特権的情人美食」。ここに収められた短編の内、ちょうど半分の9編が「村上龍料理小説集」からの出典になります。もともとの「村上龍料理小説集」は32編の短編から成っており、その数からもわかるように、龍さんの作品の中では1つの作品の長さが最も短い短編集になります。

 僕は「村上龍料理小説集」を最初に読んだとき、登場する料理はストーリーを際だたせるための小道具なんだと勝手に位置づけしちゃってたんですよ。ですが久しぶりに「特権的情人美食」においてこれらの作品を再読してみると、本当はその逆なんじゃないですか。今頃、気付くなって?

 つまり作品のストーリーや登場人物の方が、料理を際ただせるための小道具なんです。読者に感じ取ってもらいたいのはあくまで料理の方で、ストーリーなんて忘れてもらって結構ってカンジなんですよ。っていうか、料理そのものが極上のストーリーなんでしょうね。料理が主役です!

 なんかお腹空いてきちゃったなぁ。ワインも飲みたくなったし。