村上龍 特権的情人美食 村上龍料理&官能小説集 4

 村上龍「特権的情人美食」、「ブルー・ベルベット」。

 「祖父が倒れて故郷に帰っていた主人公の男が、東京に戻った日に電話もしないでまっすぐ恋人・ヨウコの家に行ったら、そこに自分の友人がいた」。「あるベトナム帰還兵が、通知ミスにより不意に自宅に戻ってきたら、奥さんが居間で男性のインテリア業者と仲良く話をしていた」。

 こういうシチュエーション、まずは全員が全員びっくりしますよね。ぎくしゃくしたムードになる事は必至です。やましい事があったのかどうかにかかわらず、これが発端となってその後関係が壊れる事が多いらしいです。

 やましい事があってそれを正直に言われたら、それはそれでオシマイ。やましい事があるのにウソで隠されても、そのウソを感じ取ってしまえばやっぱりオシマイ。一方、やましい事がなくても、ぎくしゃくムードを取り払う事ができなければこれまたオシマイ。あぁ八方ふさがりだ~。龍さんはそれを「自分でもよくわからない制御できない雰囲気」と呼んでいます。