村上龍 メランコリア 3

 村上龍「メランコリア」。この作品の形式的な語り手は29歳のジャーナリスト、ミチコです。ジャーナリズムの世界に身を置く女性らしく、「エクスタシー」の語り手・ミヤシタ以上に常識的で聡明、魅力的な女性です。そしてミチコは取材のためにあのヤザキに接近するワケです。

 ホームレスだったヤザキは、その後ミュージカルの世界にカムバックしています。表舞台に戻ったヤザキに対して、メディアの一番の関心はホームレスをしていた理由です。ミチコの取材とはそれをヤザキから聞くためです。

 皆さんココでピンと来ますよね。この作品の核はヤザキの独白なんです。つまり「エクスタシー」と同じプロット。カタオカケイコが語り手、ミヤシタは読者に対しては語り手ですが実際はケイコの聞き手というのが「エクスタシー」。一方でこの「メランコリア」は、ヤザキが語り手、ミチコは読者に対しては語り手ですが実際はヤザキの聞き手。

 繰り返されるエクスタシーの宇宙。ミチコの運命は?

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