村上龍 ストレンジ・デイズ Returns! 8

 村上龍「ストレンジ・デイズ」。ジュンコのようなキラキラした人と出逢い、これで反町の未来は明るいと思わせておきながら、その後もさっぱり明るい展開とならないこの作品。トーンは最後まで暗いままです。

 反町はジュンコを主演女優にした映画をブロデュースしようとします。ですが脚本を依頼した小説家からは嵌められ、自宅を抵当に借入をしてもなお制作資金にメドが立たない。家族を巻き込まないように離婚までする。必死にもがいているのにねぇ。スタート地点から前進なしです。「お前は、無力だ」「お前は、無力だ」。反町の頭の中で鳴り響く声。

 他人から見れば成功者でありながら圧倒的な徒労感に襲われていた過去の反町。再生への手がかりを掴んだはずなのに一向に前進のない現在の反町。いったいどっちがいいんでしょうね?

 龍さんの意図は後者でしょ。でもねぇ、読者としては辛いですよ。「368Y Par4 第2打」のような展開を期待してるんだから。