村上龍 ストレンジ・デイズ Returns! 4

 村上龍「ストレンジ・デイズ」。脱力感と徒労感に襲われた後の反町は、自分の体内に怪物が潜んでいるという感覚にとらわれます。映画「エイリアン」のように皮膚を突き破って出てくるような怪物です。そして反町は、怪物がいつか出てくる事を待ち望むようになります。

 一方のジュンコも、ずっと以前より自らの体内にサナダ虫が宿っていると思い込んでいます。そして、このサナダ虫の持つ特異なパワーが、彼女本人に伝播することによって、いっそう彼女の魅力を深め、精神の均衡を保ち、彼女の持つある才能を際だたせる役割を担っています。

 「共生虫」のウエハラくんと同じですね。ウエハラくんの場合は、体内の共生虫によって突如として覚醒していくワケですが、ジュンコの場合は、サナダ虫のパワーを投影されつつ、共存しているようなカンジです。

 体内に潜む異物というのは、自分では認知することのなかった、しかし潜在的に所有している自身の底知れぬパワーを象徴してるんですかね?