村上龍 トパーズ 4

 村上龍「トパーズ」。ハードカバーのあとがきで、龍さんがこう書いています。「彼女たちは必死になって何かを捜している。彼女たちが捜しているものは、人類が存続していく上で欠かせない思想なのだと思う」と。

 又、本作品収録の自選小説集2のあとがきでは、「彼女たちが探していたものは、思想なのではなく他者だった。思想なんかより他者の方がはるかに大事だ」と書いています。他に「イビサ」「ラッフルズホテル」「ピアッシング」を収録した自選小説集2のサブタイトルは他者を探す女達ですよね。

 他者って何ですかね。解説を読めば外部という事になっています。自分の外です。他者を探すとは、自分の外を指向し続ける事のようです。つまり共同体やシステムに呑み込まれないで生き続ける事です。

 とするなら「トパーズ」の彼女達にとってのSMとは、他者(外部)を探す行為であり、日本の既存のシステムに取り込まれないための抵抗って事です。あぁ、やっと僕の好きな展開に持ち込めるかな?