村上龍 エクスタシー 4

 村上龍「エクスタシー」。ヤザキに導かれるかのように、ミヤシタが東京で出逢うのがカタオカケイコです。この作品における最重要人物です。

 類い希な美貌と教養を兼ね備えた、SM界に君臨するスーパークイーン、世の中の全てを知り尽くしたかのような落ち着きを持ち、それでいてまだ20代前半という年齢、しかも生まれながらのニンフォマニアで、SMに対する異常な執着と才能、男が落としていく有り余るお金で究極の快楽を追求し続ける、カリスマ以上の神かがり的な存在なのがカタオカケイコです。

 カタオカケイコとのファーストコンタクトにおけるミヤシタの様子です。「女の顔から目を離せなくなり、何も考えられなくなってしまった。女の問いに何も答えられず、ただ汗だけが冷たく脇の下を流れた。足を組んだ黒いストッキングに包まれたひざやふくらはぎや足首が現実感を更に奪った」。

 逢った途端に相手の男の全てを支配してしまう女性。龍さんの全作品中、最も異彩を放つ女性なんじゃないかな。あっ、僕もうダメです!