村上龍 トパーズ 8

 「共生虫」のウエハラくんや「最後の家族」の秀樹くんは、ひきこもったうえで最終的にはアクションを起こしていきます。これらの作品から希望を感じるのは、このアクションがあってこそですよね。だって飛躍的に彼らの立ち位置が変化するんですから、これは紛れもない希望ですよ!

 村上龍「トパーズ」の彼女たちは、何のアクションも起こしてないですよね。SMはSMのままなんですよ。ただ、SMという行為自体が、既に彼女たちのアクションだとするなら、何か違うモノが見えてくるかもしれないです。

 SMとは反社会的であり、SM嬢とはマイノリティです。日本の社会からはみ出してるワケですよ。仲間と群れたりせず、見ず知らずの者が待つホテルの一室に自ら出掛け、SMという行為を通じて未知の領域に踏み込んでいく彼女たちは、やっぱり他者(外部)を探してるんだといってもいいんでしょう!

 他者(外部)を探す行為が、日本の既存のシステムに取り込まれないための抵抗であるなら、確かにいくらかは希望が見えますよね!