村上龍 368Y Par4 第2打 6

 村上龍「368Y Par4 第2打」。文庫本の帯のコピーはこうです。「オレはいつでも起死回生の第2打をイメージする」。第1打を大きくミスしたあとの第2打のことです。この作品の全てがこのコピーに凝縮されていますね!

 第2打の重要性とは、やり直しがきくということ、挽回する事ができるということです。これだけポジティブなメッセージをストレートで投げ込んでくるというのも、龍さんにしては珍しいですよね。ハードカバーの帯です。「不当に虐げれ、力を奪われている人々に送る、再生と勇気の物語」。

 カギヤは40歳です。作品中、カギヤの第2打はこれからなんですよ。そうであるなら、多くの読者の第2打だってこれからでしょ。第1打を失敗してたっていいじゃないですか。やり直しましょうよ。挽回しましょうよ!

 で、問題になるのは起死回生の第2打をイメージできるかということです。イメージできなければ打てませんから。イメージできるか否か。やっぱりここでひとりひとりどう生きてきたかが問われちゃうワケですね。あなたはいつでも起死回生の第2打をイメージできますか?