村上龍  368Y Par4 第2打 4

 村上龍「368Y Par4 第2打」。主人公カギヤとは全く正反対の立場なのが、カギヤより遙か若いヨシダケンタロウです。ケンタロウは年に1回というようなペースで、定期的に自分の近況を書いた手紙をカギヤに送ってきます。

 最初の手紙はバルセロナの三部リーグでサッカーをしている事が書かれており、次の年にはサンパウロの二部リーグに移っています。そしてサッカーはもう止めてブロゴルファーになりますという3回目の手紙が届きます。

 カギヤが成功を収めているのに対し、ケンタロウは好きな道を目指し惜しみない努力をしていますが、いまだ成功を収めていません。カギヤは醜く腐った日本だけを相手にしてきましたが、ケンタロウは光り輝く世界を相手にひとり闘っています。カギヤに無くてケンタロウが持ってるモノ。

 このコントラスト、どうですか。焦りと苛立ちにまみれたカギヤにとって、ケンタロウの一挙手一投足が全てを支配し、ケンタロウはカギヤの希望そのものになっていくワケです。ホント見事ですよね、このプロット!