村上龍 ライン 5

 村上龍「ライン」は全20章で構成されています。各章において主人公であるべき語り手が入れ替わります。それぞれの主人公にはそれぞれのストーリーがあるワケですから、20編の短編集として読む事も可能ですね!

 ところで語り手が入れ替わる瞬間なんですが、それは章が変わる時ではないんですよ。章の途中、しかも空白行も何もない箇所でいきなり語り手が変わるんです。ここで味わう感覚はホント不思議です。最初はあれっ?と戸惑うんですけど、読み進めていく内に次第にそれが快感になるんですよ!語り手が変わる都度、「キタ-!」ってカンジです。

 「共生虫」でも書きましたが、読んでいて不思議な感覚にとらわれる手法、それ自体は何かストーリーに対して特別な影響を及ぼすワケではないですよね?ところが見事に作品全体のイメージを決定付けちゃうんですよね!

 語り手が入れ替わる瞬間に感じる不思議な感覚、僕はストーリー云々を言う前に、それだけで「ライン」が好きです。