村上龍 半島を出よ 3

 村上龍「半島を出よ」は、経済が停滞し、国の財政は破綻し、国際的にも孤立を深めていく近未来(2011年)の日本が舞台です。物語は北朝鮮の特殊コマンド9人が開幕戦の福岡ドームを武力占拠するところから始まります。

 武力占拠から2時間後には、更に複葉輸送機にて484人の特殊部隊が来襲、福岡市中心部を完全に制圧してしまいます。そして彼らは自らを反乱軍である高麗遠征軍と名乗ります。スピーディで鮮やかに福岡を制圧した高麗遠征軍と、為す術もない無能な日本政府があまりに対照的です。

 そんな状況下の中、様々な悲惨な過去を持ち残虐な事件を起こし、その事で社会全体から見捨てらた少年達18名(イシハラグループ)が、この高麗遠征軍に対して闘いを挑んでいきます。

 「愛と幻想のファシズム」「希望の国のエクソダス」と同じ、龍さんお得意のプロットですね。超優秀な外部の敵、無知で無能な日本政府、それを唯一迎え撃てるのが異端者たち。僕の大好きな構図です。