村上龍 すぐそこにある希望 MEN ARE EXPENDABLE VOL.9 7

 村上龍「すぐそこにある希望」。「半島を出よの亡霊のような影響力」と題して、刊行後2年となる今でも「半島を出よ」の影響下にある事を、龍さん自身が晒した一文があります。これにはちょっとニンマリですね?

 もちろん龍さんの事ですから、大作「半島を出よ」を書き上げたからといって、フヌケになっちゃったとかそういう事ではないんですよ。ただ文体ひとつとっても半島で試したあの文体はどうだったっけとか、随所でポスト半島の影響が残っているみたいなんです。

 龍さんは「半島を出よ」の刊行後、何事もなかったかのように次の連載を始めたり、半島は既に過去の事みたいな態度を取っていたフシがありましたよね。そんな鉄人ぶりに少し淋しい思いをしませんでしたか?

 あれだけの傑作なんです。サイボーグしゃないんだから、多少の亡霊に付きまとわれていた方がアーティストっぽくてイイですよ。そして亡霊が去る時「半島を出よ」を超えていって下さい。待ってます。