村上龍 超電導ナイトクラブ 3

 村上龍「超電導ナイトクラブ」。このサイバーパンクな名前に吸い寄せられるように、日ごとやって来る常連客達がこの物語の主人公達です。その珍妙さは昨日のママとチーフを優に超えます。

 彼らは中古コンピューターブローカー、高圧炉担当試験官、光ファイバー敷設者、ニューセラミック義歯技工士、人造ウィルス遺伝病治療専門技師、コンピューター断層撮影技術者など。要するにハイテクな人達です。

 彼らには奇妙な特徴があります。容姿はとても平凡、その分野では成功者で一様に金持ち、意味もなくドン・ペリ、バレンタイン30年、カミュ・バカラなどのバカ高い酒を飲み、変態的なセックスを好む一方、家庭には様々な問題を抱え、自分たちはベンチャーであるため官庁・大企業等の既存権力を異様に憎み、道徳観・倫理観は欠けらもなく、仲間意識は非常に強い。

 そしてここが最大のポイントなのですが、将来予測がおそろしく楽観的なのです。まぁチョー底抜けに明るいってワケです。