村上龍 愛と幻想のファシズム 10

 村上龍「愛と幻想のファシズム」。腐った日本のシステムを破壊するために狩猟社の採った手口はテロリズムです。そして各分野のエキスパートが実行するテロは、綿密に計画され無駄が無くスピーディであり非常に鮮やかです。この作品の魅力の1つとなっています。

 しかしながらこの組織的暴力行為は、同時にどうしようもない嫌悪感を抱かせる事も事実です。最初は道義的な観点から不快感を感じるのだと思っていましたが、どうやら違うようです。「コインロッカー・ベイビーズ」「イン ザ・ミソスープ」「共生虫」。これら他の作品の破壊者達も道義的には許せない行為をしています。しかしこの作品ほどの不快感は持ちません。

 ではこの作品で感じる不快感は何なのでしょう?

 それは組織的だからだと思います。狩猟社のような非常に大きな力を持った集団が行う組織だった暴力行為だからです。やはり破壊者は卓越した個人であるべきですし、グループの場合でも子ども達(希望の国のエクソダス、半島を出よ)でなければダメなのですね。ねぇ?

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