村上龍 愛と幻想のファシズム 5

 村上龍「愛と幻想のファシズム」には個性的なキャラクターが何人も登場します。特にトウジという人物は、その強さにおいて龍さんの全ての作品の中において最強のキャラクターではないでしょうか?

 ハンターであるトウジを支配している基本的な思想はとてもシンプルです。それはダーウィニズム・適者生存です。強い者だけが生き残り、弱い者は滅びる。自然界ではごく当たり前のこの論理を、人間の世界に持ち込んでいるのがトウジです。「狼は生きろ、豚は死ね!」ってワケです。

 トウジの憎悪・破壊の対象は、狼が狼らしく生きられない、そして豚もけっして死ぬ事がない、日本という国のシステムです。まぁ反民主主義ですね。ファシズムでもあります。

 じゃ、トウジって嫌な奴なの。それがそれが充分すぎるほど魅力的な人物なのです。何故ならトウジの強さには確固たる裏付けがあり、結局、道義的なことはともかく、強い者はそれだけで美しいんですよね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です