村上龍 盾 シールド SHIELD 4

 村上龍「盾 シールド SHIELD」。子ども達へのメッセージとしては完璧ですよね。この本は世に出るべくして出た本だと思います。

 ただ刊行時期に対しては少し不満があるんですよ。この本の刊行は2006年3月です。さすがにこの時点で「盾 シールド SHIELD」のメッセージに目新しさはなくなってますよね。このメッセージはもうすでに当たり前の事実になっていますから。一見、今まで無かった「盾」などという概念を持ちだしているので、何か新しい事が書かれてるかのようにも感じるのですが、本質的には龍さんの従来の主張となんら変わりはありません。

 もちろん僕などではなく、子ども達へのメッセージなのだと言われてしまえば、もうそれは世に出た事だけで素晴らしい事なのですけど。

 僕は「盾 シールド SHIELD」が、2003年11月刊行の「13歳のハローワーク」より前に世に出ていればかなりスゴかったと思います。その時点でのセールスはともかく、「13歳のハローワーク」のヒットによって再評価されるような形であったのなら最高にカッコよかったのだと思います。