村上龍 イン ザ・ミソスープ 6

 以前の記事で書いたように、村上龍「イン ザ・ミソスープ」が超描写たる所以は、お見合パブでの殺戮場面の描写が度肝を抜いているからです。オーディションのラストにも唸りましたが、これは遙かにそれを超えています。

 確かに7人を殺戮するという事象自体がインパクトを持っていることには違いないのですが、今どきそんな事ではビックリしませんよね。この場面は貧弱な描写であったり、説明だけで終わったりしてはいけないんです。

 たとえば喉を切り裂かれる場面がありますが、口のようにパックリ開いた喉の奥に見える声帯や筋肉の様子までも緻密に描写しています。読者側としては緻密な描写がイメージをどんどん掻き立て、非常なリアリティを感じることとなるワケです。

 もちろん描写が緻密だからといってテンションが落ちたりスピードが落ちたりはしません。レッドゾーン状態の中での超描写なんです。これを読んで気分が悪くなり実際に吐いたりした人がいるんじゃないかな?