村上龍 イン ザ・ミソスープ 5

 今から10年前の1997年、村上龍「イン ザ・ミソスープ」が読売新聞に連載されている時に、神戸須磨区で連続児童殺傷事件が起きました。しかも逮捕されたのは酒鬼薔薇と名乗る14歳の少年でした。

 当時、読売新聞には「なぜこんな時にこんな小説を載せるのか」と抗議が殺到したらしいです。龍さんはそのような抗議に対しては何とも思わなかったようですが、事件そのものについてはかなり憂鬱だったようです。

 「寂しい国の殺人」等に書かれ、後に有名となる一文があります。「現実の事件に想像力を制限されるような気がして憂鬱になった。物語を想像力だけで成立させるのが難しくなった。これは想像力と現実の戦いであり、現実は想像力を浸食しようとしたし、想像力は現実を打ちまかそうとした。想像力が更なる試練に晒される」。

 僕は「イン ザ・ミソスープ」という作品は、龍さんの中でもかなり上位の傑作だと思っています。しかしどうもあの事件がこの作品にマイナスの影響を及ぼしている気がしてなりません。ホントは超大傑作になったハズでは?

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