村上龍 オーディション 5

 「うそはゆるさない」。村上龍「オーディション」の以前の記事で紹介した甘美な夜に、麻美は「うそはゆるさない」というメモを残し突然失踪します。何の予兆もないあまりに唐突な失踪。潜んでいる狂気が露呈する場面です。

 それにしてもこのメッセージは不気味ですよね。「あなたを許さない」ではなく「うそはゆるさない」です。この場合、仕組まれたオーディションの顛末は既に話しており、うそに対して読者にも青山にも全く思い当たる節がないために非常に不気味となるワケです。麻美の精神の破綻ぶりを見せつけた場面です。

 「オマエに地獄を見せてやる」とか「三途の川で待ってるぜ」とかだと、全然怖くなかったのに。っていうか大笑い?

 このメッセージを発端にして、「オーディション」の最大の読みどころであり、この作品の評価を決定付けたラスト20ページの前代未聞・超ハイテンションバトルへと突入していきます。うそはゆるさない、ですって。

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