村上龍 希望の国のエクソダス 6

 村上龍「希望の国のエクソダス」。この作品の導入部には度肝を抜かれます。100万人規模の中学生を不登校に導く役割を果たしたナマムギという少年が、CNNのニュースに登場するところから物語はスタートするのですが、ナマムギくんは16歳、アフガニスタンのパシュトゥーン族に身を寄せパキスタンで地雷処理にあたっています。

 こんな設定フツウ考えられますか。しかも執筆当時はまだ9.11同時多発テロの前ですよ。ヘタするとアフガンのアの字も知らない頃です。龍さんのアンテナの感度がバツグンなのか、世間一般が無知なのか?

 物語のスケールの大きさを予感させるワールドワイドな登場人物の動き、そして次から次へと息つく間もない展開。読者はナマムギくんがどう集団不登校に結びついていくのかをワクワクしながら読むワケです。

 ここはホントにオモシロイです。物語への導入部の素晴らしさという点では、龍さんの作品の中でも群を抜いていると思います。