村上龍 希望の国のエクソダス 2

 「この国には何でもある。だが、希望だけがない」。村上龍「希望の国のエクソダス」は1998年から連載が始まり、2000年にハードカバーが発売されました。僕はこの作品をリアルタイムで読みましたが、随分とこの作品に救われたのを覚えています。

 「希望の国のエクソダス」が発表された当時とその後の3,4年程というのは、10年超に渡る長引く不況に日本全体がホントにうんざりしていて、どうしようもない閉塞感だけがあった時代ですよね。円も株価も下落を続けており、失業率は上昇の一途、書店には日本の財政破綻の本が立ち並び、息をする事は出来るんだけどどこか息苦しい。

 「どこにでもある場所とどこにもいないわたし」でも紹介した「希望の国のエクソダス」の有名コピー「この国には何でもある。だが、希望だけがない」。まさにその通りの時代でしたね。

 そしてそんなどんよりとした日常に、彗星のごとく登場したのがこの作品だったのです。