村上龍 限りなく透明に近いブルー 8

 村上龍「限りなく透明に近いブルー」。今回スゴいと思った事の1つに、物語の構成力があります。

 物語自体は、リュウ達のSEX & DRUGの日々が淡々と書かれているかのようなのですが、実は読むにつれ後半になればなるほど、うねるようなドライヴ感があります。体感スピードが高まり、ハンドリングもシャープさを増すというカンジです。当然、読者側の心臓の鼓動も早まります。

 やはり圧巻は最後のリュウとリリーの場面です。それまではどちらかと言えばリュウの友人達を中心に据えたエピソードだったのに対して、初めてリュウ本人にスポットを当てた展開となります。哀しみの果ての狂気の場面です。ここでの緊張感は並みじゃないです。

 そして最後の最後、小説タイトルが登場する静かなるエンディング。もう見事しか言いようのない構成ですよね。これ処女作ですよ!