村上龍 ピアッシング 5

 それにしても村上龍「ピアッシング」が持つスピード感は圧倒的です。龍さんの小説の中には異常なまでのスピード感を持つモノも少なくないですよね。ただ「ピアッシング」のスゴイのは、最初の1ページ目から最後のページまでスピードが全く落ちないところです。

 この圧倒的なスピード感というのは、精神を病んでいる2人が主人公であることから何時何が起こるか分からないこと、2人とも非常にアクティブで次から次へとストーリーが展開していくこと、そして何時殺るのか、何時殺られるのか、というスリリングな状態がずっと続くことに拠っていると思います。「ピアッシング」はあらゆる局面で読者の想像力を超えています。

 「ピアッシング」は川島と千秋の前夜から翌朝へかけての一夜の物語です。なのでハイウェイを夜通しアクセル全開で走っているような感覚ですね。真夜中ぶっ通しの超音速バドルってカンジ?

 読み始める前にトイレにだけは行っておかないとダメですよ。読み始めたら途中で席を立てませんから。