村上龍 69 sixty nine 2

 村上龍「69」は、あらゆる面において龍さんの作品の中でも異色の作品です。まず青春というか純粋に学園を舞台にした作品というのが「69」だけですし、シリアスな作品が多い中でほとんどコメディタッチで書かれているのも「69」だけ。村上龍=キワモノと思っている世間の多くの皆さんが読めば、この元気の良さやさわやかさにまずビックリするのではないでしょうか?

 「69」。とにかくゲラゲラ笑い転げてしまうような箇所が数え切れないほど無数にあり、もぉ、お腹痛いよぉ、勘弁しての連続です。龍さん自身があとがきで、「こんなに楽しい小説を書くことはこの先もうないだろうと思いながら書いた。」と記しています。現在でも全作品の中で「69」の楽しさは群を抜いており、まさしく異彩を放っています。

 好意を寄せている女性にうっかり龍さんの作品を薦めると、人格を疑われ良好だった関係が終わってしまう場合が多いのですが、「69」は数少ないセーフの作品!

 ちなみに僕は「イン ザ・ミソスープ」で痛い目に遭いました。痛ッ。そして誰もいなくなった。